シンシア農場に咲く雑草の小さな花~ツユクサと万葉集~*シンシア豊川*
帰化植物が多い中で、
つゆ草は万葉集にも出てくるバリバリの在来種です。
万葉の時代においては、月草(つきくさ)と呼ばれており、
また、青い花弁は染色にも使われていました。
しかし、月草の染料は色が落ちやすく、
また、朝咲いた花は昼頃にはしぼんでしまうことから、
心変わりを例えたり、
この世のはかない命を表すのに読み込まれています。
月草を読み込んだ歌は、全部で9首あります。
このうちただ一首のみ、
作者がわかっている歌があります。
月草の、
うつろひやすく思へかも、
我が思う人の、
言(こと)も告げ来ぬ
(私の恋しい人は)ツユクサのように心変わりし易いのでしょうか、
私の恋しい人は、
歌を贈って来てはくれません。
この歌は、大伴坂上家之大娘(おおとものさかのうへのいものおほいらつめ)が、
万葉集の編者で知られる大伴家持(おおとものやかもち)に贈った歌ですが、
この歌を贈ったかいがあってか、
大伴坂上家之大娘は後に大伴家持の妻となります。
シンシア農場にひっそりと咲く、
月草ならぬ露草。
古代にはこんなロマンの表現に用いられていました。
2021.06.27 | シンシア豊川